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サントウサイの育て方

サントウサイの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。

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サントウサイの育て方失敗しないサントウサイ栽培のコツ


Contents Menu

  1. サントウサイの栽培難易度と育て方のコツ
  2. 栽培時期
  3. 育てやすい品種
  4. 栽培前に準備しておくこと
  5. 土作りと畝作り
  6. 種まき
  7. 間引き
  8. 苗の植え付け
  9. 栽培管理土寄せトンネル掛け水やり 追肥
  10. 収穫
  11. 病害対策
  12. 害虫対策

栽培難易度と育て方のコツ

栽培難易度 ★★★☆☆

サントウサイは栽培期間が少し長いので栽培難易度は普通です。冷涼な気候を好みますが、耐寒性も耐暑性もそれなりにあり、工夫すれば1年を通して栽培ができます。

サントウサイの栽培難易度と育て方のポイント


サントウサイは中国原産の「サントウナ」や「べかな」とも呼ばれるアブラナ科の葉野菜です。葉が結球しない半結球のハクサイの一種で、漬け菜としてよく利用されています。

その他にも、お浸し、鍋や汁の具、野菜炒めなど、料理のレパートリーも豊富です。

有機質を豊富に含んだ保水と排水の良い土壌でよく育ちます。栽培期間が害虫の発生しやすい時期なのでしっかりと対策をして栽培しましょう。

サントウサイは株が大きく育ちすぎると茎葉が固くなってしまいます。収穫適期の見極めがポイントです。

サントウサイの栽培データ

科名 アブラナ科
別名 べかな・ベカナ・サントウナ・山東菜・山東ハクサイなど
草丈 40~50cm
連作障害 あり(1~2年)
適した場所 日がよく当たる風通しの良い場所
日当たり 🌞 or 🌤
土壌酸度 pH6.0~6.5
株間 20~30cm
条間 30~40cm
発芽適温 15~25℃
生育適温 15~20℃
種まき時期 3月~4月・8月~9月
発芽日数 2日~3日
苗植え付け時期 4月~5月・9月~10月
収穫時期 種まきから約2.5か月


栽培時期

サントウサイの栽培時期は春と秋で、収穫までは種をまいてから約2.5か月、苗を植え付けてから2か月です。

栽培カレンダー

春まき

春の種まき時期は3月上旬~4月中旬(苗の植え付けは4月上旬~5月中旬)です。

サントウサイの栽培カレンダー


秋まき

秋の種まき時期は8月上旬~9月中旬(苗の植え付けは9月上旬~10月中旬)です。

サントウサイの栽培時期


育てやすい品種

サントウサイには栽培地の風土や気候に合った品種が多くあります。基本的にはどの品種を選んでも栽培方法や育てやすさに違いはありません。

サントウサイの育てやすい品種


サントウサイの品種はとても豊富で、丸葉の品種、葉の切れ込みが強い品種、大株取りする品種、短期収穫型(極早生種)、耐暑性が高い品種、耐病性のある品種などがあります。

育てやすいおすすめの品種には「はなまみな」や「べかな」などがあります。


サントウサイの栽培方法

サントウサイはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。

栽培前に準備しておくこと

サントウサイの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。

サントウサイのプランター栽培


プランターの選び方

サントウサイ栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら8号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。

品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して2~3株程度の栽培が可能です。

サントウサイ栽培で使う用土


栽培に使う用土の種類

サントウサイ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。

自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。

そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。


プランターへの用土の入れ方

プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。

種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)


サントウサイの土作りと畝作りのやり方


露地栽培の土作りと畝作り

土作りのやり方

サントウサイの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。

種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(1㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。

畝作りのやり方

サントウサイ栽培で作る畝は、畝幅は40cm(1条)70~80cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。


種まき

サントウサイは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。

サントウサイの種まき


サントウサイを種から育てる

サントウサイは間引いた苗を料理に利用することができるので筋まきがおすすめです。

もちろん、点まきやばらまきも可能です。栽培地の条件や利用目的に応じた種まき方法を選びましょう。

サントウサイの種ををまく前に、一昼夜水に浸しておくと発芽が揃いやすくなります。

適温内なら直まきでも発芽が揃いますが、発芽適温から大きく外れる時期はポットに種をまいて、苗が植え付けに適した大きさになるまで育苗して畑に移植方法がおすすめです。

種まき時期

サントウサイの種まき適期は、春まき(3月上旬~4月中旬)と秋まき(8月上旬~9月中旬)です。

※種まき適期は栽培地の気候などによって前後します。

発芽適温

サントウサイは15℃~25℃が発芽に適した温度です。20℃前後がもっとも発芽しやすいです。

発芽日数

サントウサイは発芽適温内なら2日~3日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:サントウサイが発芽しない原因と対策

サントウサイの種まき方法


直まきのやり方(手順)

  1. 用土を平らにならします
  2. 水をたっぷりとかけて用土を湿らせます
  3. 棒を押し当ててまき溝をつけます。
  4. 1cm間隔で種をまきます
  5. 用土を5~10mm被せます
  6. 指先で軽く押さえて用土と種を密着させます
  7. 種が流れ出ないように水やりをします

ポットまきのやり方(手順)

  1. 3号のポリポットに種まき用の培養土を入れます。
  2. 水をたっぷりとかけます。
  3. 1か所あたり2~3粒の種をまきます。
  4. 用土を5~10mm被せます。
  5. 指先で軽く押さえて用土と種を密着させます。
  6. 種が流れ出ないように水やりをします。

種まきのコツとヒント

  • 覆土は適切な量を被せましょう。
  • 発芽までは風通しを良くして反日蔭で乾燥させないように管理しましょう。
  • 発芽するまでは水切れに注意しましょう


間引き

サントウサイの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。

サントウサイの間引き


間引きの時期(タイミング)

サントウサイの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が1~2枚になった頃で2本立てにします。

2回目の間引きは本葉が3~4枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。

最終の株間

サントウサイの株の間隔は20~30cmです。

苗の間引き方

苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。

間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。


苗の植え付け

サントウサイを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。

サントウサイの苗の植え付け


サントウサイを苗から育てる

サントウサイは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が5~6枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。


苗の植え付け時期

サントウサイの苗の植え付け適期は、春植え(4月上旬~5月中旬)と秋植え(9月上旬~10月中旬)です。

※植え付け適期は栽培地の気候などによって前後します。

生育適温

サントウサイは15℃~20℃が生育がもっとも良くなる温度です。

苗を植える間隔は(株間)

サントウサイの苗を植える間隔は20~30cmです。

サントウサイの苗の植え方(手順)


苗の植え方(手順)

  1. 根鉢より一回り大きな植穴を開けておきます。
  2. 根鉢を壊さないように丁寧に苗を取り出します。
  3. 穴の中に苗を入れます。
  4. 子葉が埋まらない程度に用土を入れます。
  5. 株元を軽く押さえて根と用土を密着させておきます。
  6. 水をたっぷりと与えます。


栽培管理

土寄せ

サントウサイは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。

サントウサイの土寄せ(まし土)


土寄せの頻度とタイミング

水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。

根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。

土寄せのやり方

株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。


トンネル掛け

サントウサイの害虫対策と低温対策にはトンネル掛けが有効です。

サントウサイのトンネル掛け


気温が高い時期のサントウサイ栽培は害虫の被害に遭いやすいので、寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。日中の気温が高い時期はトンネルの裾をめくって風を通して温度管理をしましょう。

日中の気温が15℃以下になる時期は低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、透明のビニール掛けに変更して霜対策と保温対策をしましょう。


水やり

サントウサイは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。

サントウサイの水やり


水やりの頻度(タイミング)

サントウサイは用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。極度の乾燥と湿潤を繰り返すと株が弱るので注意しましょう。

種まき後や苗の植え付け後の約1週間は水切れにならないように、用土の表面が乾きすぎないようにこまめに水やりをします。

1回あたりの水やり量

プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。

水やりのコツとヒント

  • 苗が小さいうちの水やりは苗が倒れないように丁寧に与えるのがポイントです。
  • ハス口の細かいものを使うか、ジョウロから出る水を手に受けて株と株の間に優しく水やりしましょう。
  • 初期段階で苗が倒れたり抜けたりすると、株の成長が遅れる原因になります。
  • 水の与えすぎは株を軟弱にして病害の要因になります。適量を心掛けましょう。


追肥

サントウサイの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。サントウサイは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。

サントウサイの追肥


追肥の頻度(タイミング)

サントウサイの追肥時期は、苗を植え付けてから約2週間後から、種から育てている場合は最後の間引きが終わった頃からスタートさせます。

その後の追肥は不要ですが、茎葉の状態を見ながら必要に応じて与えましょう。葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったときは肥料不足のサインです。

与える肥料の種類

生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。開花が始まった根と果実を大きくするリン酸とカリの割合が多めの肥料に切り替えます。

1回あたりに与える量

プランターの場合

1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。

薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。

露地栽培の場合

1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。

追肥のコツとヒント

  • 追肥のあとに水やりをすると、肥料が効果的に土にしみこんで吸肥の効率がよくなります。
  • 肥料の与えすぎは株が軟弱に育ってしまいます。適量を心掛けましょう。


収穫

サントウサイの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。

サントウサイの収穫


収穫時期(タイミング)

サントウサイは種まきから約2.5か月、苗の植え付けから約2か月で収穫適期を迎えます。

大株に育てると葉が固くなるので、収穫適期を逃さないようにするのがポイントです。茹で料理(鍋の具や汁の具)に使うときは大株に育ててもいいでしょう。

収穫に適した大きさ(見た目)

サントウサイの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が40~50cmになった頃です。

サントウサイの収穫時期と収穫方法


収穫方法

サントウサイは株採り収穫をしましょう。株元にナイフや包丁を入れて収穫します。

いつ頃まで収穫できるの?

サントウサイは低温に当たると「とう立ち」する性質をしています。トウが立ったら株ごと抜き取って収穫を終わらせましょう。


病害対策

サントウサイにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。

サントウサイの病害対策


サントウサイに発生する病害の種類

サントウサイ栽培でよく見かける病害は「軟腐病」「菌核病」「べと病」「ウイルス病」「モザイク病」「細菌病」などです。

病害の予防と対策

サントウサイが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。

サントウサイの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。


害虫対策

収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。

サントウサイの害虫対策


サントウサイに集まる害虫の種類

サントウサイに発生しやすい害虫は、「アオムシ」「コナガ」「ダイコンハムシ」「アブラムシ」などです。

害虫の予防と対策

害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。

栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。

サントウサイの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。

自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。

害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。


この記事の著者

べじっと(佐藤 陽子)|家庭菜園アドバイザー

淡路島で栽培歴25年の兼業農家。小さなベランダ菜園から始め、現在はお米の他、年間30種類以上の野菜を育てています。日本園芸協会「美味野菜栽培士」資格保有。野菜づくりの楽しさを多くの人に伝えるべく、初心者向けのYouTubeチャンネルも運営中。

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