サラダ菜の育て方
サラダ菜の育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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栽培難易度と育て方のコツ
栽培難易度 ★★☆☆☆
サラダ菜は生育期間が短く収穫期間が長い野菜で、栽培難易度が低くベランダ菜園に最適です。冷涼な気候を好むため、上手に育てるには種まき時期がポイントになります。
サラダ菜はキク科の葉野菜で、レタスの一種バターヘッドタイプです。本来は半結球する性質（結球と非結球の中間）をしていますが、サラダ菜は結球する前に若採りして利用します。
玉レタスに比べて茎葉がとても柔らかく肉厚で味も濃厚です。シーズン中なら外葉を摘み取りながら長期間収穫が楽しめるのもサラダ菜のいいところです。
サラダ菜は冷涼な気候を好み、酸性土と乾燥した土壌を嫌います。管理をすれば1年を通して作れますが、春まきと秋まきが栽培が容易です。
種子は好光性種子といって光がないと発芽しにくい性質をしているため、種まき後は薄く用土を被せるのが栽培成功のポイントです。
気温が25℃以上になると発芽しなくなるため、種まき時期を守ることが大切です。高温期は芽出しをしてから種まきをすると失敗が少なくなります。
サラダ菜の栽培データ
| 科名 | キク科 |
| 別名 | サラダナ・バターヘッドレタス・タマチシャ・タマヂシャなど |
| 草丈 | 15～20cm |
| 連作障害 | あり（2～3年） |
| 適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
| 日当たり | 🌞 or 🌤 |
| 土壌酸度 | pH6.0～6.5 |
| 株間 | 10～15cm以上 |
| 条間 | 10～15cm以上 |
| 発芽適温 | 15～20℃ |
| 生育適温 | 15～20℃ |
| 種まき時期 | 3月～4月・8月～9月 |
| 発芽日数 | 4日～5日 |
| 苗植え付け時期 | 3月～4月・9月～10月 |
| 収穫時期 | 種まきから約2か月 |
栽培時期
サラダ菜の栽培時期は春と秋です。収穫までは種をまいてから約2か月です。
栽培カレンダー
春まき
春まきの種まき時期は3月～6月上旬（苗の植え付けは3月～6月）です。
秋まき
秋まきの種まき時期は、8月～10月中旬（苗の植え付けは9月～11月上旬）です。
育てやすい品種
サラダ菜には栽培地の風土や気候に合った品種が多くあります。基本的にはどの品種を選んでも栽培方法や育てやすさに違いはありません。
サラダ菜のメジャーな品種は「サラダ菜」「バターレタス」「ウェアヘッド」などで、葉が丸葉で柔らかいものが人気です。
耐病性の高い「サングリーン」や、夏場や温暖な気候でも育てやすい品種「岡山サラダ」「サマーグリーン」「うるおい」などもあります。
サラダ菜は栽培地の気候や風土に合った品種を選ぶと良いでしょう。
プランターと土作り
サラダ菜はプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
栽培前に準備しておくこと
サラダ菜の栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
プランターの選び方
サラダ菜栽培で利用するプランターサイズは小型（45cm）以上のものを利用しましょう。1株植えなら8号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、小型サイズのプランター1つに対して2～3株程度の栽培が可能です。
栽培に使う用土の種類
サラダ菜栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土（7）：腐葉土（2）：バーミキュライト（1）を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10～20gと化成肥料を用土10Lあたり10～20gを入れてよく耕しておきます。
プランターへの用土の入れ方
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。（根鉢を置いてから残りの用土を足します。）
露地栽培の土作りと畝作り
土作りのやり方
サラダ菜の露地栽培の土作りは種まき（苗の植え付け）の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき（苗の植え付け）の1週間前になったら、堆肥（1㎏/㎡）と化成肥料（100g/㎡）を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
畝作りのやり方
サラダ菜栽培で作る畝は、畝幅は40cm（1条）60～70cm（2条）で、畝の高さは10～15cmの平畝です。
種まき
サラダ菜は直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
サラダ菜を種から育てる
サラダ菜は間引き菜を利用することができるので筋まきがおすすめです。
もちろん、点まきやばらまきも可能です。栽培地の条件や利用目的に応じて種まき方法を選びましょう。
サラダ菜の種ををまく前に、一昼夜水に浸しておくと発芽が揃いやすくなります。また、気温が高い時期は芽出しをすると種まきが成功しやすくなります。
発芽適温から大きく外れる時期は、ポットに種をまいて苗が植え付けに適した大きさになるまで育苗する方法がおすすめです。適温内なら直まきでも発芽が揃います。
種まき時期
サラダ菜の種まき適期は、春まき（3月～5月）と秋まき（8月～10月）です。
※種まき適期は栽培地の気候などによって前後します。
発芽適温
サラダ菜は15℃～20℃が発芽に適した温度です。
発芽日数
サラダ菜は発芽適温内なら4日～5日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。（参考：サラダ菜が発芽しない原因と対策）
直まきのやり方（手順）
- 用土を平らにならします
- 水をたっぷりとかけて用土を湿らせます
- 棒を押し当ててまき溝をつけます。
- 1cm間隔で種をまきます
- 用土をごく薄く（約5mm）被せます
- 指先で軽く押さえて用土と種を密着させます
- 種が流れ出ないように水やりをします
ポットまきのやり方（手順）
- 3号のポリポットに種まき用の培養土を入れます。
- 水をたっぷりとかけます。
- 1か所あたり4～5粒の種をまきます。
- 用土をごく薄く（約5mm）被せます
- 指先で軽く押さえて用土と種を密着させます。
- 種が流れ出ないように水やりをします。
種まきのコツとヒント
- 覆土は適切な量を被せましょう。
- 発芽までは風通しを良くして反日蔭で乾燥させないように管理しましょう。
- 発芽するまでは水切れに注意しましょう
間引き
サラダ菜の間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
間引きの時期（タイミング）
サラダ菜の間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が1～2枚になった頃で2本立てにします。
2回目の間引きは本葉が3～4枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
最終の株間
サラダ菜の株の間隔は10～15cmです。
苗の間引き方
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
苗の植え付け
サラダ菜を種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
良い苗の選び方
サラダ菜は、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が4～5枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
苗の植え付け時期
サラダ菜の苗の植え付け適期は、春植え（4月～6月上旬）と～秋まき（9月～10月）です。
※植え付け適期は栽培地の気候などによって前後します。
生育適温
サラダ菜は15℃～20℃が生育がもっとも良くなる温度です。
苗を植える間隔（株間）
サラダ菜の苗を植える間隔は10～15cmです。
苗の植え方（手順）
- 根鉢より一回り大きな植穴を開けておきます。
- 根鉢を壊さないように丁寧に苗を取り出します。
- 穴の中に苗を入れます。
- 子葉が埋まらない程度に用土を入れます。
- 株元を軽く押さえて根と用土を密着させておきます。
- 水をたっぷりと与えます。
栽培中の管理
土寄せ
サラダ菜は根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
土寄せのタイミング
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
土寄せのやり方
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
トンネル掛け
サラダ菜の害虫対策と低温対策にはトンネル掛けが有効です。
サラダ菜は害虫の被害に遭いやすいので寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。日中の気温が高い時期はトンネルの裾をめくって風を通して温度管理をしましょう。
11月以降から3月上旬までは低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になります。
晩秋以降に摘み取り収穫を続けるときは、透明のビニール掛けに変更して霜対策と保温対策をしましょう。
水やり
サラダ菜は成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後（苗の植え付け後）から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
水やりの頻度
サラダ菜は極度の乾燥を極端に嫌います。用土の表面がカラカラに乾く前に水やりをしましょう。病害を防ぐために、水やりはなるべく午前中に行います。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
1回あたりの水やり量
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.0～1.5Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
水やりのコツとヒント
- 苗が小さいうちの水やりは苗が倒れないように丁寧に与えるのがポイントです。
- ハス口の細かいものを使うか、ジョウロから出る水を手に受けて株と株の間に優しく水やりしましょう。
- 初期段階で苗が倒れたり抜けたりすると、株の成長が遅れる原因になります。
- 水の与えすぎは株を軟弱にして病害の要因になります。適量を心掛けましょう。
追肥
サラダ菜の追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。サラダ菜は根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
追肥の時期（タイミング）
サラダ菜の追肥時期は、苗を植え付けてから約2週間後から、種から育てている場合は最後の間引きが終わった頃からスタートさせます。
摘み取り収穫をするときは、1回目の収穫のあとに追肥を施して、それ以降は茎葉の状態を見ながら2週間に1回の頻度で与えましょう。
葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったときは肥料不足のサインです。
株採り収穫では茎葉が固くなるので、2回目以降の追肥は基本的には不要です。
与える肥料の種類
生育初期から収穫までチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てましょう。収穫が始まったあとも同様の種類の肥料を与えます。
1回あたりに与える量
プランターの場合
1株あたり約5gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
露地栽培の場合
1㎡あたり20～30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
追肥のコツとヒント
- 追肥のあとに水やりをすると、肥料が効果的に土にしみこんで吸肥の効率がよくなります。
- 肥料の与えすぎは株が軟弱に育ってしまいます。適量を心掛けましょう。
サラダ菜の収穫
サラダ菜の収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
収穫時期（タイミング）
サラダ菜は種まきから約2か月、苗の植え付けから約1.5月で収穫適期を迎えます。
収穫に適した大きさ（見た目）
サラダ菜の収穫時期を見た目で判断するときは、本葉が12枚以上になり、草丈が15～20cm以上で、株の直径が20～30cmを超えたら収穫のタイミングです。
収穫方法
サラダ菜は株採り収穫と摘み取り収穫が楽しめます。
株採り収穫は適期になったものから順番に株ごと手で抜き取って収穫します。根っこが絡まっているときは株元にナイフなどを入れて切り取ってもかまいません。
摘み取り収穫するときは、新芽が中央から伸びるので外側の茎葉を必要な分だけ切り取って収穫しましょう。
サラダ菜はいつ頃まで収穫できるの？
サラダ菜は日長でとう立ちするため夏頃が収穫の終わりの時期になります。
トウが立つと茎葉が固くなって味も悪くなってしまいます。最後は株ごと抜き取って栽培を終わらせましょう。
病害対策
サラダ菜にはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
サラダ菜に発生しやすい病害の種類
サラダ菜栽培でよく見かける病害は「斑点細菌」「腐敗病」「根腐病」「灰色かび病」「すそ枯病」などです。
病害の予防
サラダ菜が病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている（または水やりが多い）などです。
サラダ菜の病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
害虫対策
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
サラダ菜栽培で見かける害虫の種類
サラダ菜に発生しやすい害虫は、「ヨトウムシ」「アブラムシ」「タバコガ」「ハモグリバエ」などです。
害虫の予防と対策
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣（落ち葉や枯葉）はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
サラダ菜の苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
この記事の著者
べじっと（佐藤 陽子）｜家庭菜園アドバイザー
淡路島で栽培歴25年の兼業農家。小さなベランダ菜園から始め、現在はお米の他、年間30種類以上の野菜を育てています。日本園芸協会「美味野菜栽培士」資格保有。野菜づくりの楽しさを多くの人に伝えるべく、初心者向けのYouTubeチャンネルも運営中。
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